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大映70mm映画「釈迦」と「秦・始皇帝」 [映画の雑感日記]

 大昔に見て、もう2度と見ることはあるまいと思っていた映画を見ることができると、それが名作であると駄作であるとを問わずなんだか得した気分になれる。以前、ムービープラスだったかで「釈迦」を見たときそう思った。古いもなにも、日本映画なので中村映劇で見たのか、大作なので洋画のオーモン劇場で見たのかも覚えていないほどである。もちろん、大作大好き人間の私なので、日本初の70mm映画という宣伝にまんまと釣られて見に行ったわけである(当時、70mm映画は全部見るぞ、と心に決めていたことは、すでに何度も書いた)。続いて作られた「秦・始皇帝」ももちろん見に行ったわけだが、どういうわけかこちらはさらに記憶が薄く、どこの映画館で見たのかさっぱり思い出せない。
 結論から先に書くと、まあどちらも覚えている必要がないような出来の作品なのだが、そんな「釈迦」と「秦・始皇帝」が、「大映スペクタクル」の一環として、なんとWOWOWで相次いで放送された(ほかに「大魔神」など)。
 「釈迦」はCSチャンネルでも放送されたので見たが、「秦・始皇帝」は、どこかで放送はされたのだろうか? 私はテレビで見るのは初めてである。つまり、何十年も前に映画館で見て以来のことである。どちらも不必要に長い映画で時間の無駄なのはわかっているのだが、生涯にもう一度くらい見ておいてもいいかと思い、まあそこは我慢して見た。もちろん、集中して見るなんて体力はないから、いつもながらのソファに寝っ転がり、ときどきタバコを吸いに起きたり、コーヒーを入れに行ったりしながら適当に見たわけである。
 それにしても、長かった・・・。
 まあ、どちらも永田ラッパ(大映社長)が、当時大ヒットしていた「ベン・ハー」などにあやかって歴史大作映画を作り、大もうけしようとしたのだろうが、やはり金のかけかたのちがいはどうしようもない(もっとも「秦・始皇帝」など後年の「敦煌」などと比べればそれでもエキストラの数だけでも勝ってはいる)。当時の日本映画としては破格の制作費だったのだろうが、スケールの大きな映画を作ろうとしたために、あちこちに綻びが出来て残念な結果になってしまったわけである(「スター・ウォーズ」の第1作=エビソード4のラストシーンを思い出してもらうとわかりやすいと思う。あの映画はもう1つ予算がなかったため、せっかく宇宙全体の帰趨を決する戦いが行われ勝利したというのに、そのお祝いのシーンが残念なことに、中堅スーパーの入社式程度のものになってしまった)。
 シナリオもすきま風がビュービュー吹きまくっているような出来で、知られているいろいろなエピソードを繋ぎ合わせるのに手一杯。見終わっても、いったいこの映画で何を言いたかったのか判然としない。いや、もうけたいという思いだけで(それはそれで別に悪いことではない。企業として当たり前のことである)、言いたいことなど何もなかったのだろう。
 だったら、メッセージなどなくていいから、もっとスペクタクルで押して押して押しまくって楽しませてくれよ、と言いたくもなる。今の時代にこんな古くて長くて退屈な映画を見る人もいないだろうから、とりたてて感想は書かない。おっと、書かないと言いつつ念のために書いておくが、古いから退屈だということではない。ジョン・フォードの「駅馬車」は70年以上前の映画だが、今見てもあのリズムのよさにわくわくする。ルイス・マイルストンの「西部戦線異常なし」などはそれよりもさらに古い映画だが、心に響くものがあるだけでなく戦闘場面の迫力たるや身震いするほどである。スペクタクル映画で言えば、「ベン・ハー」は今でも十分におもしろい。つまり、「釈迦」や「秦・始皇帝」に、これらの映画にあった何か1つでもあればよかったのだが、「70mm大作」という永田ラッパの掛け声だけで、中身は何もなかったのだ。
 残念。
 それでも、まあ、せっかくだから、どんな俳優が出ていたのかだけ書き留めておこう。まさしくオールスターである。ただ、いうまでもなく、「釈迦」の舞台はインド、「秦・始皇帝」の舞台は中国である。せっかくオールスターを起用しても、残念ながらどう見ても日本人が日本を舞台にちまちまと何かやっているようにしか見えないなぁ・・・・・。

「釈迦」 ☆☆★★
上映時間 157分(WOWOWでは156分)
初公開年 1961年
監督 三隅研次
本郷功次郎 シッダ太子
勝新太郎 ダイバ・ダッタ
(このほか、千田是也=王、滝沢修=僧、東野英治郎=バラモン、山田五十鈴=子ども食い女、山本富士子、市川雷蔵、川口浩、杉村春子、北林谷栄=「貧者の一灯」のばあさんと豪華)

「秦・始皇帝」 ☆☆★★
上映時間 200分(WOWOWでは161分)
初公開年 1962年
監督 田中重雄
勝新太郎 始皇帝(政)
市川雷蔵 荊軻(刺客)
本郷功次郎 李黒(若い兵士)
(このほか、宇津井健、山本富士子、山田五十鈴、東野英治郎、中村玉緒、宮口精二、長谷川一夫、中村鴈治郎と、またまたオールスター)

釈迦など.jpg
 「秦・始皇帝」は161分版でも長く感じられたので、全長版だったら途中で見るのをやめていたかもしれない。私が以前、劇場で見たものは全長版だったのだろうか。それにしても、「釈迦」の方は、貧者の一灯とか、踏もうとしたゾウが空中で止まるとか、地割れの中に釈迦の救いの糸がすーっと降りてくるシーン(そういえば、このシーン、劇場で「なんまだぶ」と唱えているばあさんがいた(^^;)など断片的に覚えているところはあったのだが、「秦・始皇帝」の方は、ほぼ100%忘れていた。こちらのボケではなく、あまりにつまらなかったからと映画のせいにしておこう。

☆★は、尊敬する映画評論家=故・双葉十三郎さんの採点方法のパクリで、☆=20点、★=5点(☆☆☆が60点で「可」。要するに合格というか許せるぎりぎりのラインということです。)
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